とうとう我が家にも蛾がわいてしまった
1か月ほど日本に一時帰国して数日後。ふとキッチンで天井に目をやったら、壁と天井のつなぎ目あたりに何やら黒いものがいくつもついている。それが蛾、および蛹でした。そして、幼虫も一匹壁を歩いているではないですか。
これが2週間ほど前の話。
敵の特徴は?
食品につくのがメイガという種類の蛾で、体がベージュと茶色のスジマダラメイガと、全体に黒っぽいスジコナマダラメイガとコイガの三種類。衣類につくのはイガとコイガ。コイガが雑食で、こいつを見たら衣類も食品も被害に遭っている可能性があるということみたいです。
そこで各種の写真を見比べてみましたが、判別は困難です。スジコナマダラメイガのみは他のより黒いので判別できそう。イガとコイガはベージュ系の単色に近く、スジマダラメイガは羽の裾のほうが茶色く、上に行くほど白いです。
衣類につく蛾は天然素材を好みますが、汚れが付着していれば化学繊維でもかじります。
蛾との戦いの第一章
まずは卵と幼虫がどこにいるか探すところから。穀物、豆類、ココア、チョコレート、ドライフルーツ等が好物だということで、そういったものを片端からチェックしていきましたが、そもそもドイツは乾燥しているし冷涼だし、ビニール袋はプラスチックでエコじゃないし、ということで簡易包装天国。パン粉もパスタも小麦粉も、紙箱や紙袋です。ビニール袋で密閉されていても幼虫は食い破って入るそうではありますが、これだともう、入り放題もいいところ。
そして私は雑な主婦の好例。瓶等に詰め替えている物のほうが少なく、蛾にとってはパラダイスのような環境。
怪しい物は一通り見てみましたが、全てを確認しきれない、ということで、蛾が好むとされている物はとりあえずジップロックや蓋つき容器へ入れ、惜しくない物は破棄しました。
最強の生物兵器を紹介される
これで数日過ごしましたが、発生源はわからないままなので、夜になるとやっぱり天井に蛾があらわれる。見つけるたびに大急ぎで掃除機で吸う毎日。うっかり叩くと壁が汚れるので。
そこでインスタのストーリーで「困っている」と書いたところ、蛾と戦った経験があるフォロワーさんからいいものを紹介されました。
それが、Schlupfwespen。日本語ではヒメバチという生き物です。
生物兵器Schlupfwespeをご紹介
ネットでSchlupfwespenで検索すると、取り扱うお店はいくつかありますが、一番気軽なアマゾンで注文しました。同時に注文した商品と同梱して段ボール箱に入っていましたが、これだけを注文すると封筒で届くかもしれません。値段はまちまちですが、5ユーロはしないくらいです。
商品の形状としてはこんな厚紙のシートです。下半分が半分に折られて接着されており、これを蛾が発生する場所に置いておけば、ここから天敵の虫が出てきて蛾に寄生して食べてくれるそうです。
写真の右側の紙の上に見切れた形で虫が写っていますが、それは説明書にのっている蛾のイラスト。肝心の虫はそこじゃありません。
シートの下の部分は「開けてはいけない」と書かれていますが、上の辺が貼り付けられているだけなので、輪状になっている横から見ようと思えば中身は見えます。ええ、ダメと言われたら見たくなるもの。見ましたとも。
中にあるものは思わず紙を取り落とすような不気味な物でもありませんが、キュンキュンするような物でもありません。見たくないけれど知りたい人のために書けば、覗くとそこには小さな粘着シートが貼られており、その上には灰色のものがびっしりついています。おそらくそれが卵か蛹。
中では小さい小さい灰色の何かが動いているのも見えます。それこそがSchlupfwespen。ドイツ語ですが、日本語に訳すと「スルっとスズメバチ」といったところでしょうか?大きさは砂粒よりも小さく、細かく挽いた胡椒くらいです。
商品に添えられた説明書きを解読する
ヒメバチはどこにいるか?
カードの下の隙間部分にヒメバチの卵が入っています。ヒメバチは0.3-0.4mmの大きさで、裸眼ではほぼ見えないサイズです。
ヒメバチが効果を発するまで
一つのカードには2000匹ほどのヒメバチが入っており、それぞれが10の成長段階の中の様々な段階にいます。それによりヒメバチが時差で成長するため、長期にわたっての効果が見込めます。封筒を開けた時点で生きたヒメバチをみつけることもあれば、カードを置いて数日たつまでヒメバチが出てこない場合もあるのはそのせいです。どちらにしても、ヒメバチは効果的に蛾を退治してくれます。
注意点
ヒメバチは飛びません。半径1平方メートルほどの空間を歩き回って蛾の幼虫を探します。
ヒメバチは小さな子供を含め、人間にも動物にも危険はなく、ほぼ見えないサイズなので視覚的に気になることもありません。
カードを置く場所
まず蛾が発生した食料品ないし衣類等をすべて処分してください。封筒の到着後はすぐにカードを蛾がいそうな場所においてください。
注意
カードは当分の間いつも同じ場所においてください
蛾の発生元について
蛾はキッチンの食料品に巣食っているとは限りません。居間の菓子類のストックや、ドライフラワー、他にも部屋の装飾品についている場合もあります。
インスタで教えてもらったところでは、お茶類にもわくそうです。
蛾を完全に退治するためには
最速で全滅させるためには蛾の生態に合わせて計画的に使用してください。ヒメバチを置いてからも時々は蛾を見ることもあるかもしれませんが、それも2-3週間だけのことです。ヒメバチの働きにより、蛾の幼虫は成長して羽化することはありません。
説明書きのイラストによるとヒメバチの寿命は2週間。食品につく蛾の退治には8週間、衣類の蛾の退治には12週間ほどかかるとのこと。つまり、根絶のためには食品につく蛾の場合に4回、衣類の場合は6回は処置を繰り返すことになるようです。
蜂を置いて10日ほどの我が家の現状
蜂以前は毎晩5匹以上は蛾を掃除機で吸っていたのですが、数日で目に見えて数が減り、今では一匹見る日もあるし、全く見ない日もあります。
ただ、以前として卵や幼虫がいる場所が見つけられていません。ちゃんとしようと思えば、ねじ穴の中や床や壁の隙間まで掃除機で吸って卵を除去しないといけないそうですが、動かせる家具ばかりではないのでそれは無理だと諦めました。
この記事を書くために説明書を熟読した結果、あと3回ヒメバチが届くように手配を済ませました。とりあえずはもうしばらくの間、見えないヒメバチに協力してもらうことにします。
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